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【書評】「大阪ことばの謎」

  • ymdjdpa
  • 5月19日
  • 読了時間: 2分

『大阪ことばの謎』

 金水 敏 著

 SB新書 2025年5月刊

筆者のように、中学の途中まで大阪市内で育った人間にとって、この本はとても楽しく、どこか懐かしい気持ちにさせられる一冊だ。

表紙のイラストには「なんでやねん」「どんくさい」「ええんやで」「めっちゃ」「知らんけど」など、おなじみの大阪弁が看板風に描かれているが、本文を読み進めていくうちに「ああ、こんな言葉も昔よく聞いたなあ……」と、記憶の底にあった言葉が次々と蘇ってくる。

大阪弁のアクセントについても詳しく解説されており、筆者の記憶と一致している点に安心感を覚えた。 著者の金水敏先生も大阪市内のご出身で、東京の大学に進学されたという経歴を持つ。そのため大阪弁のアクセント描写が的確なのは当然といえば当然だが、私には高校生の頃に映画『白い巨塔』を初めて観た際、多くの俳優の大阪弁がぎこちなく、耳障りに感じた経験があり、その記憶とも重なって、いっそう正確さに対する信頼感が増したのだと思う。

「大阪人のしゃべりはなぜ軽快か」「コテコテ大阪弁の誕生とその後」など、興味深いトピックが並ぶなかで、特に印象に残ったのが「コラム6」に収められた『「自分」って誰?——自称詞と対称詞にまたがる代名詞』という項目だ。

中学時代、女生徒が親しい相手に「自分」と呼びかけているのをよく耳にした。文脈から相手を指していることは理解できても、「なぜ相手のことを“自分”と呼ぶのか?」という疑問はずっと胸の奥に残っていた。その謎が、このコラムを読んでようやく腑に落ちた。 他にも面白い話題が盛りだくさんで、大阪ことばや関西文化に興味のある方には、ぜひ手に取ってほしい一冊である。




 
 
 

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