onccの「総合文化を学ぶ科」は昨年の8期からはじまった講座で、 当初は「午前」の教室だけでスタートの予定が、募集人員が多いため「午後」の教室も開設された人気講座です。
onccの講座は通常1人か2~3人の講師で構成されていますが、「総合文化を学ぶ科」は、大阪大学の文学部の先生方が自分の専門分野について講義されるというもので、古代史・中世史・美術・国語学など多岐にわたります。そのなかの一つ近代文学は、8期では、「織田作之助~木の都⦅斎藤理生准教授(現在は教授)⦆」の講義がありました。
木の都のなかに「口縄坂」が登場するのです。
木の都で、口縄坂は、蛇のようにくねくねとした坂であると表現されているのですが、先生によると実際の口縄坂は、くねくねしておらず直線的な坂、とのことです。
(先生が撮影した写真もスライドで見せてもらいました。 また織田作之助の時は曲がっていたのに、その後直線に改変されたこともないようです。)
先生は、織田作之助は事実のみを記載しているのではなく、事実でないことも文学的に取り入れている、といわれました。
(ややひねくれた?)私は、坂は左右にくねくねはしていないが、例えば上下に湾曲しているのでは?と思い、実際に坂を訪れて検証してみたいと思いました。
実は、口縄坂のみならず、天王寺七坂は一度歩いたことがあるのです。
その時は、天王寺七坂が有名であることも、ましてや織田作之助の作品に取り上げられていることもまったく知りませんでした。
8期の先生の講座のあと家に戻って、「木の都」の該当部分を読むと、どうみても「蛇が左右にくねっている」としか読めず、私の奇説?は再訪まえに頓挫しそうでした。
原文 「口縄とは大阪で蛇のことである。 といへば、はや察せられるやうに、口縄坂はまことに蛇の如くくねくねと木々の間を縫うて登る古びた石段の坂である。」
コロナの関係と出不精なためなかなか口縄坂への再訪出来ませんでしたが、今年の11月05日に知り合いに誘われて再訪を果たすことができました。(写真)
坂そのものは、まっすぐですが、よく見ると階段の段差が一様ではなく、右から左に上ったり、左から右に上ったりしているようにも見えます。
また、天王寺七坂に誘ってくれた人は、雨が降ったさい、雨水が左右にくねくねしながら流れてくるのでは、との新説も唱えていました。
私は今期(oncc9期)も「総合文化を学ぶ科(午前)」を受講しています。
本日、講座(「織田作之助~夫婦善哉」)の前に、立ち話で、斎藤先生に写真をお見せして新説を紹介したところ「なるほど」と仰ってくださいました。
来年以降、是非とも近代文学学会で口縄坂論争(織田作之助の虚構か事実か)を繰り広げていただければと願っています(冗談)。
2021(R03)年12月21日
受講生 午前の教室 7班 岩井信夫
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